干支による、相場格言というものが有りまして、2019年は亥(いのしし)年。相場格言は「亥固まる」です。
固まるという言葉を使っておりますが、十二支の最後となる、亥年は、サイクルが終了して、次の新たなサイクルを迎える準備が固まる。
土台が固まる、次のステージへの動きが固まる、意志が固まる意味があります。
ちなみに、2018年の相場格言は「戌(いぬ)笑う」で、相場にとって縁起が良いと言われておりますが、実際は、日経平均が7年ぶりに下落して終了。
そんな難しい相場において、2018年のIPOはどういった結果であったか?データとともに振り返ってみましょう。
2018年のIPO数
2018年のIPOの数は、東証1部・2部、マザーズ、ジャスダックの合計で89社。
2008年のリーマンショックを受け、2009年の19件を底に回復傾向を見せてきた中、
ここ数年は2015年89件、2016年81件、2017年86件とほぼ横ばい、堅調な推移を見せています。
これは2015年頃から、上場後に業績を下方修正する企業が増加したことに対して、上場の審査を厳しくした影響と言われています。
2018年IPO初値上昇率ベスト
そんな流れの中、2018年IPO状況としては、市場の期待を受けて公募価格を大きく上回る企業も多かったです。
2018年IPO初値上昇率トップは以下の5社です。
上場日 | 銘柄 | 市場 | 吸収金額 | 初値上昇率 |
---|---|---|---|---|
4月20日 | HEROZ | マザーズ | 8.9億円 | 989% |
3月28日 | アジャイルメディア・ネットワークス | マザーズ | 4.3億円 | 416% |
4月4日 | ビープラッツ | マザーズ | 3.3億円 | 355% |
2月23日 | Mマート | マザーズ | 8.4億円 | 334% |
2月28日 | ジェイテック | マザーズ | 25.9億円 | 331% |
相場の地合いが良かった、春先にIPOを行った企業が好調でした。
特にAI(人口知能)を用いた人気の将棋アプリ「将棋ウォーズ」を始めとする、AIの研究を手掛けるHEROZが目立ちました。
公募株数が少なかった事と、AIと言う人気テーマと言う事もあり
公募価格4,500円に対して初値49,000円。
1997年以降で、公開時に最も大きな伸びを見せました。
2018年IPO初値下落率ワースト
一方、2018年IPO初値騰落率ワースト5社は
上場日 銘柄 市場 吸収金額 下落率 12月21日 ポート マザーズ 54.4億円 △37% 12月21日 自律制御システム研究所 マザーズ 101億円 △17% 10月12日 Delta-Fly Pharma マザーズ 38.4億円 △8% 3月23日 キュービーネットHD 東証1部 253.2億円 △6% 9月28日 ワールド 東証1部 591.7億円 △5%
ポートは、買い気配で初値がつかなかったHEROZとは対照的に、10年2ヶ月ぶりにIPOで売り気配のまま初値形成が出来ませんでした。
全体として、地合いの厳しかった年末や、大型案件のIPOの公募割れが目立ちました。
昨年もっとも注目される中で上場した
ソフトバンクグループの子会社であるソフトバンク(証券コード:9434 12月19日に東証1部に上場)は
2018年のIPO全体の調達額3兆1409億円に対して、全体の8割を占める2兆6461億円という
国内過去最大規模の超大型案件でしたが
公募価格1,500円に対して初値1,463円(△2.5%)という結果に。
ソフトバンクIPO詳細に関する記事はこちら
ソフトバンクIPO結果について
初値上昇率上位5社のうち4社は、吸収金額が10億円以下の規模でした。
相場の地合いも含め、市場に出回る株数の影響は、IPO投資を行う際、しっかりと考慮したいところです。
主幹事証券会社ランキング
最後に2018年IPOで主幹事(中心となる証券会社)を務めた証券会社のランキングをご紹介します。
主幹事証券会社は、IPOの際に割り当てられる株数が他の幹事証券会社よりも多いので
もし申し込みたいIPOがあれば、主幹事証券会社を確認することも大切な準備の一つです。
こちらが昨年のIPO主幹事証券会社のランキングです。
順位 証券会社 IPO主幹事 No.1 みずほ証券 24件 No.2 野村證券 23件 No.3 SMBC日興証券 21件 No.4 大和証券 13件 No.5 SBI証券 11件
まとめ
2018年IPO全体の傾向としては、
公募価格を上回るIPOが多数で、12%下落した日経平均と比較した場合、
IPO投資家、IPOを当選された方々には「戌笑う」笑顔の一年ではなかったでしょうか?
「亥固まる」2019年、今回の2018年IPOの振り返りが、みなさんの今後IPO投資の参考になればと思います。