いちよし証券は、今までIPOのブックビルディングを電話でのみ受付を行っていました。
ところがついに、2018年10月からインターネットでのIPO申込みが可能となりました。
おそらくIPOに申込む人も増えたと思います。
いちよし証券は、最近少しずつ増えてきた「前受金」不要でIPOを申し込める、証券会社の1社です。
そして、IPOの幹事団も積極的に行っている証券会社です。
それでは、いちよし証券のIPO申込み方法を見て行きましょう。
いちよし証券とは
いちよし証券の概要 | |
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本店 | 東京都中央区八丁堀二丁目14番1号 |
創業 | 1944年5月29日 |
預かり資産 | 2兆円 |
口座数 | 16万口座 |
支店数 | 19 |
発祥は大阪ですが、現在は東京に本社を置く、中堅と言われる証券会社です。
野村證券系列の会社ではありますが、独自性の強い証券会社とも言われています。
いちよし証券では「売れる商品でも、売らない信念」で、独自の「いちよし基準」という取り決めから、先物やオプション、FXなどのハイリスクの金融商品は取り扱っていないようです。
「営業マン」はおらず「資産アドバイザー」という職員が、資産形成のサポートを担うという「お客様第一主義」を掲げる証券会社です。この辺は多分建前でしょうね。
それでも、会社の規模からすれば、IPOの引き受け実績は素晴らしいです。引受部門に優秀な人材を集中させているんでしょう。
2018年に手がけたIPOの数は30社。そのうち主幹事は1社です。
昨年主幹事を務めたIPOは、2018年12月18日に上場した、AI製品等によるロイヤリティサービスを手掛ける、テクノスデータサイエンス・エンジニアリング(7046)。
ソフトバンクの大型上場を翌日に控えた地合いで、当社の初値は、公開価格の3,200円を98.4%上回る6,350円での上場でした。
基本的なルール
いちよし証券のIPO配分ルール | |
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配分の割合 | 抽選 10% |
裁量 90% | |
資金タイミング | 申込時点 |
資金拘束 | なし |
抽選方式 | 完全公平抽選 + 優待抽選 |
抽選結果の名称 | 当選・落選 |
当選後の辞退ペナルティ | なし |
NISA口座 | 可能 |
IPO主幹事件数
2018 1
2017 4
2016 1
2015 2
2014 1
IPO取扱い数
2018 30
2017 37
2016 30
2015 34
2014 36
いちよし証券のIPO特徴
「お客様第一主義」を掲げている中で、長年、電話対応のみのIPOの申し込み受付でしたが、さすがにお客さんからの要望が多かったのでしょう。
2018年10月からIPOのインターネットでの申込みを開始しました。
これによって、日中に電話で申し込みができる環境にない投資家の方々にも、申込みしやすい環境が整いました。
(電話でのIPO受け付けも、引き続き行っています。)
いちよし証券のIPOについては、抽選10%、裁量が90%となっております。
ここは、他の対面営業メインの証券会社と同じですね。
抽選は完全平等抽選としており、ステージ制などは今のところないようです。
他証券会社と比較しても、一般的な仕組みでシンプルになっています。
ただし、当選の連絡はネットでは確認できず、電話で当選の連絡が入るようです。面白いですね。笑
ネットでの申込みにしろ、電話での申込みにしろ、申し込み時には、購入資金の振り込みは必要ありません。
公式には、当選した場合のキャンセルペナルティもありませんとなっていますが、ネット証券ではなく昔ながらのアナログな証券会社なので、支店ではブラックリストを作成している可能性があります。
個人顧客収益が9割
いちよし証券は、会社自体の収益が、リテール(個人顧客)向けの手数料が中心であることが特徴的です。
全体収益の9割近くが、この個人顧客からの手数料で、法人との取引が少ない点があげられます。
対面営業がメインの証券会社は、大口の法人顧客からの手数料が収益の大半を占めていることが多いので、こういった比率は少し珍しいかもしれないです。
IPOの配分という視点で考えると、それだけ個人顧客に裁量で配分できるIPOが多いということになります。
他の大手証券会社では、IPOを大口の法人顧客に裁量で配りまくる支店が大半である中、これは配分を期待できるポイントです。
ライバルの資金力
IPO配分におけるライバルとは、自分と同じ証券会社と取引する他の顧客です。
野村證券などの大手証券会社の顧客だと、100億円預けてる法人もざらにいる中で、IPOを貰う必要があります。
当然ですが、その大口の法人だけに、露骨にIPOを配り過ぎるのはコンプライアンス的NGなので、それより小さい顧客にも配分していきます。
ですが、野村證券の小さいですから、都内の支店だと500万円とか1,000万の預かり資産では、小さいを通り越して、極小で認識されてない可能性があります。
いちよし証券では、100億円を平気で預ける、嘘みたいな資金力がある顧客が少ないのがポイントです。
必然的に1口座あたりの預かり資産も少なくなり、預かり資産が500万円でもちゃんとIPO配分の候補になるわけです。
証券会社の担当者と関係ができると「良くわからない金融商品を強く勧められる。」「営業の電話が頻繁にかかってくる」といった、経験をされた方々もいらっしゃるかもしれません。
「いちよし証券の担当者は、そんなことしない」などと無責任なことは言いませんし、担当者によって営業のスタンスが全く異なりますので、一概には何とも言い切れません。
ですが、比較的わかりやすい商品だけを扱っていますので、担当者との付き合いはしやすい部分も多少あるでしょう。
個人投資家を大切にする証券会社ですので、投資資金に比較的余裕がある方は、「資産形成」「資産運用」の相談という形で、あえて店頭で口座開設を行って、「資産アドバイザー」を通じた、電話でのIPOの申し込みを行ってみるのも一つの方法かもしれません。
さいごに
抽選の配分比率が10%で、完全平等抽選であるため、他証券会社と比較しても、特段有利な条件とは言えませんが、ここ数年はIPO全体の3~4割の数のIPOに関して、シンジケート団として取扱いをしています。
株数こそ多くはありませんが、いちよし証券の大きな特徴の顧客層を考えると、裁量配分でIPOを貰うことも考慮に入れても良いかもしれません。
ネットでの抽選に参加するにしても、そもそも前受金を必要としないので、狙っているIPOに対して、資金拘束なく申込みが出来ます。
この前受金不要というルールは、IPOが集中する四半期末などには、助かる方も多くいると思います。
IPO取扱数の多さ、ライバルの顧客層などを踏まえると、当選確率を高めるために、口座は出来れば開設しておいたほうが良いでしょう。